全国大学ラグビー選手権2020-2021 決勝 20210111 天理vs早稲田
大学ラグビーの頂点を決める闘いは、初優勝を狙う天理か、それとも連覇に賭ける早稲田か。
留学生のパワフルな突進と勢いに乗ったATをみせる天理、特にスクラムで優位に立ち、13番が自由に動き回るとペースを一気に掴めるだろう。
早稲田はハーフバックスのゲームメイクからFWとBKが縦横無尽に動き、ブレイクダウンでのターンオーバーからラインアウトモール、またスピードのあるスリーバックスがゲイン出来ると、得点チャンスが増えてくるだろう。
序盤、キックオフ直後からボールの主導権が激しく入れ替わるが、天理のFWがブレイクダウンから執拗に早稲田に絡み、ターンオーバーやペナルティからFWが攻め込んで連続トライを奪い、流れを引き寄せていく。
早稲田がしぶとくフェーズを重ねて1トライを奪うが、手堅いDFラインと素早い寄りでブレイクダウンにて優位に立つ天理が再三攻撃権を奪い、13番が空いたスペースに蹴り込んで早稲田陣営でのゲームを継続し、加えて焦る早稲田はキックミスやペナルティが重なっていく。
前半終盤はスクラムやラインアウトモールで天理が優勢に立ち、天理BKをハーフバックスと13番が巧みに操り、12番のハットトリックが生まれるなど、29vs7の終始天理ペースで前半を折り返した。
後半も序盤は天理ペース、早稲田陣営での攻撃を重ね、サインプレーからのラインブレイク、外国人留学生のオフロードパス、ドギーポジションからのセカンドプレーヤーの強固なブレイクダウンと、付け入る隙を与えない。
早稲田はBKの個人技でゲインを図り、球出しが早くなれば天理のDFラインに穴が見られてチャンスがみられるが、それよりも天理の攻撃が着実に早稲田のゲインラインを突破し、トライを重ねていく。
天理の攻撃はポイントから離れた部分にFWが3枚、その裏に13番が立ち並び、ワンパスを入れてFWがスピードを上げて突進、もしくは13番がラン、パス、キックと多彩な攻撃を重ねてくるため、早稲田DFは受けに回り、天理がその穴に勢い良く、躊躇なく、チームメイトを信頼して全力で前に向かうのだ。
早稲田も15番と3番の個人的から2トライを意地で返し、難しい角度から10番が2ゴールを決めて追い上げにかかるが、天理が13番のオフロードパスから5トライを重ねる。
天理はDFでも外側のプレーヤーがかぶさる様に前に出るため、外側へのロングパスを阻むと同時に、DFを内側に絞ってゲインラインより前で潰し、可能であればチョークからモールアンプレアブルを狙っていく。
早稲田は終盤に速いテンポから1トライを返すが時既に遅し、55vs28、8トライを奪った天理が初優勝を決めた。
天理は夏に新型コロナウイルスの集団感染がみられたものの、そこから活動を再開しては個を磨き、試合がなくともチームの中で役割とゲームプランを練り上げ、勝つために何をするか、勝たせないために何をするか、そこに時間を費やした闘いだった様に思う。
かつて9連覇を果たした帝京の様な体の仕上がり、盤石なゲーム展開があり、個々人が体を張ったプレーを重ね、キーマンがしっかりと仕事をし、15人、23人が力を合わせ、勝つべくして勝ったゲームだった。
早稲田は4年生が少なく、3年生以下が多い中でここまで勝ち上がってきたこともあり、来年までさらに円熟したチーム作りをし、覇権奪還に向けて前進してもらいたい。