ぐるなBB

宮城県在住であるBBの主観が渦巻く日常観察バラエティ

ラグビーワールドカップ2019『20191019準々決勝 イングランド対オーストラリア』

死のプールと呼ばれたプールCを首位(台風19号の影響によりフランス戦は引き分け)で通過したイングランドと、プールDをウェールズに敗れて2位で通過したオーストラリアとの一戦。

前回大会、イングランドとオーストラリアは予選で対戦してオーストラリアが勝利、イングランドはホスト国ながら予選敗退という形で終え、ヘッドコーチに日本の躍進を支えたエディー・ジョーンズを迎えた。

対するオーストラリアは前回大会、決勝でニュージーランドに敗れるも準優勝、世界ランク2位の位置に付けていたが、その後は主要メンバーの引退や離脱もあってか低迷期に陥っていた。

 

イングランドは2017年、2018年とやや低迷をみせ、代わりにアイルランド、そしてウェールズシックスネーションズ等では調子を上げてきたが、2019年シーズンはファレル、フォードといったファイブエース陣がゲームを支配し、強力FWと速力のあるBKが再度躍動し始め、ワールドカップ予選プールでは強固なDFも光り、アルゼンチン、アメリカ、トンガを封じ込めた。

オーストラリアはスーパーラグビーでも低迷しつつも、ワールドカップ前には調子を取り戻し、本戦ではウェールズに惜しくも敗れたものの、フィジーとの激闘を制し、ウルグアイジョージアには大勝し、決勝トーナメントへ駒を進めた。

下馬評ではイングランド有利かと思われるが、速い展開から連続攻撃を仕掛けるオーストラリアは、BK陣にもケレビやクインドラニ、オコナーらの強力なランナーがいるため、イングランドの強固なDFを突き破る事が出来ればまだまだ勝負は分からないのである。

 

前半、序盤はキックオフ開始からオーストラリアの連続攻撃が光り、イングランドのDFラインをどんどん引き下げていく。

イングランドは徐々に順応し始め、早い展開でも横と縦に厚いDF網を敷き、ゲインを許してもトライラインは破らせず、相手のミスから得たボールを効果的に繋ぎ、11番・メイが2本のトライを挙げ、徐々に主導権を握り始める。

しかし、オーストラリアも6番・ポーコック、7番・フーパーがブレイクダウンで積極的にボールハントを試み、BKのボールキャリーから前進を図り、スクラム等で得たペナルティを10番・レアリーファノが着実に決め、前半を17対9で折り返した。

 

後半開始早々、オーストラリアはイングランドDFの外側のプレッシャーが少ないとみるや否やロングパスを図り、ボールを受けた13番・ペタイアから11番・コロイベテへ内返し、左端を縦に切り裂くと快速を飛ばしてそのままチーム初トライを決め、ゴールも決まって17対16とする。

しかし、その直後には反則等から陣地を獲得したイングランドが攻め込み、最後は10番・ファレルが空いたスペースへ走り込む3番・シンクラーへパス、代表初トライを演出しながら、再びオーストラリアを突き放す。

その後はオーストラリアが猛攻を見せるも、惜しいハンドリングエラーやイングランドの堅いDFシステムからなかなか得点を奪えず、逆にスクラムではイングランドの低く強い押しから反則を誘われ、ペナルティゴールを重ねられた他、14番・ワトソンが浮いたボールをインターセプトイングランドにダメ押しのトライを決められ、勝負あった。

 

最終スコアは40対16、点差は開いたもののイングランドのトライは4つであり、反則からのペナルティゴールも4本と、2トライ分ほどの点数を獲得している。

キッカーを務めたファレルの精度の高さも去る事ながら、スクラムやブレイクダウンで反則を誘えるほど強力なFW、そして前半にされたブレイクダウンでのターンオーバーを後半はほとんどされず、オーストラリアの猛攻を凌ぐDFは素晴らしい。

オーストラリアもタフなプレーをみせ、特にケレビとコロイベテの突進とペタイアの将来性は光ったが、完成度の高さでイングランドが上回ったゲームだった。

 

イングランドは前回大会の雪辱を果たし、味わった屈辱を返した事だろう。

上がって沈んだチームはまた上がり、今こそ最高潮の時を迎える。

次は準決勝、赤い薔薇はまだ輝きを保つのだろうか。