ぐるなBB

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ラグビーテストマッチ 日本対南アフリカ戦 20190906

世界三大スポーツの数えられているラグビーワールドカップ、その2019年日本大会が9月20日より開幕となる。

本戦前の最後の試合として、南アフリカと対戦した。

 

前回大会であるラグビーワールドカップ2015イングランド大会、両国は予選にて初対戦を交わし、格下である日本が後半ロスタイムに逆転した。

『スポーツ史上最大の番狂わせ』とも称され、ゲームが行われたスタジアムの名前を用いられた、所謂“ブライトン・ミラクル”と世界に知れ渡り、日本のラグビー人気復活の転機ともなった試合である。

日本は惜しくも予選敗退となり、南アフリカは準決勝まで駒を進める形となったが、南アフリカが世界から嘲笑の的となり、また世界が日本を再評価する大会となったのだ。

 

この4年間、両国の対戦はなく、南アフリカは一時イタリアにも敗れ、2015年当時3位だった世界ランクもじわじわと下がりつつあったが、若手の台頭の下、先月のザ・ラグビーチャンピオンシップでは王者・ニュージーランドに同点引き分けという地点まで復活してきた。

対する日本は世界の強豪国とのテストマッチも重ね、さらには世界最高峰リーグである『スーパーラグビー』にも参戦し、世界トップクラスのプレーを肌で感じながら少しずつレベルアップを行い、先日のパシフィックネーションズカップでは格上・フィジー相手に白星も挙げた。

南アフリカにとっては因縁の相手であり、国毎の対戦成績で負け越しているのはニュージーランドと日本(0勝1敗)だけであるため、前回大会から続く“汚名”を返上するためにも、是が非でもの勝利、それも力の差を歴然に示す必要があった。

 

試合は、終わってみれば41対7と南アフリカの圧勝であり、トライ数は6対1、南アフリカと日本の差を世界にまざまざと見せつけたのであった。

所感としては、南アフリカのDF力の高さ、強さが伺えた。

素早い出足でファーストタッチプレーヤーにプレッシャーを与え、日本の攻撃は選択とスピードを潰され、攻めは単調になり、ラインは浅くなり、不用意なパスやキックから失点するケースも少なくなかった。

唯一のトライは相手のハンドリングエラーをラファエレが巧みにタップアウトし、受け取ったアタアタから松島へと繋ぎ、ゴールラインを割っただけであった。

そして南アフリカのトライ6本はセットプレーからの崩しが3本にターンオーバーからが3本、両ウイングが計5本と、その決定力とDFからの反応性の高さを見せつけられた。

 

それでも、日本に得点チャンスがなかったわけではない。

相手のミスやペナルティから敵陣ゴール前まで攻め込むシーンも再三あった。

セットプレーは体格で勝る相手の圧力に、精度の低下や後退は多少あったものの及第点とも言える成果をみせ、攻撃の目を潰される事はなかった。

しかし、残り5mがなかなか割れず、日本が誇るハードクラッシャーは尽く止められ、ライン攻撃も相手の撹乱を誘えず、迅速で強靭なセカンドプレーヤーによるターンオーバーの餌食となった。

FWは元より、センター陣の腕力は日本のFWを容易く受け止め、持ち上げ、ブレイクダウンで劣勢を強いられていたのであった。

 

ハンドリングエラーも多数見受けられたが、そのパスが通れば敵のDFを切り裂く事も出来たであろう、現に通ったパスでラインブレイクをしたシーンもあり、南アフリカの攻撃では見られなかった事だ。

チャンスで外や裏にキックパスを図る場面もあり、精度や意思統一が高まれば、日本の得点チャンスを引き寄せられるだろう。

攻撃においてもDFにおいても、どれだけミスを減らし、精度を高められるか、どれだけ敵陣でのプレー時間を増やし、焦らずじっくり得点の機会を伺うか、格上を相手した日本の勝機はそこにあるだろう。

 

そして懸念材料としては、試合開始早々に離脱した快足・福岡と、後半で肩を痛めたフィジカルモンスター・マフィの離脱である。

報道では福岡が肉離れにより4週間、マフィは外傷により1-2週間の治療期間を有するとの事だが、福岡のあの表情と歩行状態からは靭帯損傷も考えられ、日本ファンは最悪の展開を予想した事だろう。

他にも怪我人を抱える日本だが、コンディションも含めたベストメンバーを残り2週間、その後の大会でも揃えに揃え、ベストを尽くしてもらいたい。

 

長々と書いたが、スコアほどの力の差があったかどうかは不明である。

ターンオーバーがなければ、試合展開はもう少し緊迫した状況となり、日本のチャンスも増えていたかも知れないし、ピンチになっていたかも知れない。

たらればでは語れないが、パシフィックネーションズカップでは対戦出来なかった強豪国の壁と本戦前に対峙し、課題を浮き彫りに出来た事は日本にとって良い経験だっただろう。

2週間後が今から楽しみである。