ぐるなBB

宮城県在住であるBBの主観が渦巻く日常観察バラエティ

ラグビーワールドカップ2019『20191013 日本対スコットランド』

予選プール最終戦、日本で始まって日本で終わるという開催国ならではのスケジュール。

そしてプールAを勝点14の2位につける日本、勝点10で3位につけるスコットランド、日本は引き分け以上で予選突破となるが、ボーナスポイント次第では負けても決勝トーナメントへ進出となる。

元より最後の大一番となる可能性が高かったワケであり、それは変わりないのである。

 

日本には超大型の台風19号が上陸し、前日にニュージーランド対イタリア、イングランド対フランス、当日にカナダ対ナミビアが中止となり、危ぶまれた開催も無事に行われる事に。

日本はマフィを怪我で欠くも、福岡、トゥポウが先発復帰、リザーブには山中を入れてレメキを外し、DFを重視した布陣であり、僅差での勝負を目指すか。

スコットランドは3日前のロシア戦をリザーブメンバーで大勝、過密日程も層の厚さで乗り越え、アイルランド戦同様のほぼベストの布陣で臨む。

 

先制点はスコットランド、10番・ラッセルのゲームメイクが光り、右奥の空いたスペースにキックパス、11番・グラハムとの競り合いに10番・田村が勝つも、密集への速度で勝るスコットランドがターンオーバー、日本の反則を誘い、最後は再び10番・ラッセルのランとステップで9番・流、3番・具を交わしてトライを決める。

すると今度は日本が反撃、左サイドに11番・福岡、14番・松島を、右サイドに7番・ラブスカフ二、6番・リーチを配置する変則ポッドシステムで左右にボールを運び、福岡にボールを渡せるタイミングでも敢えて渡さず、3回目のチャンスでクイックスクリューパス、スコットランドDF網の脇をすり抜け、最後はオフロードパスから松島が今大会5本目のトライを挙げた。

ここ1番で福岡に託すスタイル、そしてスコットランドDFが横にストレッチされると脆くなる点を突いた作戦勝ちだった。

 

その後も日本の猛攻は続き、スクラムでのアーリーエンゲージや10番・ラッセルの悲運なハンドリングエラーから何とか攻撃権をもぎ取り、今大会でその身体能力を見せつける松島がDF網を突破し、綻んだところを田村から2番・堀江、5番・ムーア、15番・トゥポウと連続オフロードパスで縦に切り裂き、最後はサポートに走った1番・稲垣がオフロードパスを受け、ゴール真下に代表初トライを挙げた。

そして前半終了間際にはスコットランドのドロップキックから日本が再び攻撃を再構築、左サイドを攻めて数的優位な状況を作ると、13番・ラファエレがスコットランドDFの11番・グラハムが松島・福岡へのパスを読んで外に開いたところ、その空いた穴にグラバーパント、裏から抜け出した福岡が掴み、15番・ホッグの手も掻い潜ってゴールラインを割った。

前半のボールおよび地域の支配率を7割強、3トライ、21対7で折り返し、スコットランドに驚異的なプレッシャーを与えた。

 

後半になっても日本ペースは続き、スコットランドの攻撃に対しタックルに入るラファエレとボールに絡む福岡、弾いたボールを福岡が自ら掴み、そのまま50m以上を走り切り、今大会4本目のトライを挙げた。

圧倒的に苦しくなったスコットランドだが、その後は徐々に持ち前の破壊力ある攻撃が光り始める。

7番・リッチーが度重なるターンオーバーで日本の攻撃の芽を摘み、ラッセルは日本DFの少しでも薄いところを見つけて外に中にとボールを運び、ゴール前ではFWの肉弾戦、で連続してトライを奪い、28対21と追い上げた。

 

後半残り20分、スコットランドは相変わらず日本陣営に攻め込むも、今大会ここ1番で見せる“姫野ジャッカル”がここでも炸裂、スコットランド陣内での攻防が続く。

変わって入った17番・中島、18番・ヴァル、19番・ウヴェらの大型FWがスコットランドと対等以上に渡り歩き、23番・山中もBKながら大柄な体格でキックよりもランでボールキャリーを図った。

そして何と言っても、キャプテンリーチは体を痛めながらも驚異的なタックル成功率とボールキャリーで、日本チームに勇気と信頼を与え、鼓舞し、スコットランドに焦りと恐怖を与えた。

 

試合終了間近、残り時間5分ほどでも点差は変わらず、キックで攻め込まれてキャリーバック、日本陣ゴール5m前でスコットランドボールでのスクラムとなった。

ボーナスポイントの関係上、決勝トーナメント進出には最低でも2トライ2ゴール以上が欲しかったスコットランドだが、ここでの必殺サインなどは見られず、FWの縦攻撃かBKの横攻撃は見せるも、日本DF陣が踏ん張り、ターンオーバーをした。

残り時間1分強、日本は近場の連続攻撃にてボールを動かさずに死守し、フルタイムのコールの後に21番・田中からのパスを受け取った山中が外に蹴り出し、日本の勝利と史上初となる決勝トーナメント進出を、プール4戦全勝という形で決定付けた。

 

過去の対戦を見ても、日本はスコットランドのDFに翻弄され、言い方を変えれば日本の攻撃はスコットランドのDFには脅威にならず、スコットランドは守りながらに攻める事が出来た。

しかし、日本はFW同士でのパスプレーやFWからBKへの展開、さらには田村からのシェイプや外展開、裏側へのキックパスと攻撃パターンが多種多様になっており、スコットランドDFはなかなか前に出れず、守ることに従事させられた。

それでもサポート選手の速さは光り、7番・リッチーを筆頭にターンオーバーを何度も見せて攻撃に繰り出したが、10番・ラッセルのゲームメイクは日本DFをなかなか切り崩せず、走力が自慢の11番・グラハム、14番・シーモア、15番・ホッグ、23番・キングホーンらも封殺し、あと一歩及ばなかった。

 

これで日本は決勝トーナメントへ進出し、因縁の相手とも言えるプールB・2位の南アフリカ(1位はニュージーランド)と再度相見える

爆発的な攻撃力を誇るニュージーランドに敗れはしたものの23対13と肉薄、そのDF力と今大会絶好調の14番・コルビの決定力は脅威である。

直前のテストマッチでは良い様にやられたが、本戦ではどの様な攻防を繰り広げるのか、今から楽しみである。