映画『ドラゴンクエスト ユアストーリー』
とても珍しいが、映画を観てきた。
映画を観るために約2時間もの時間を拘束されるなんて…と良く考えてはいたが、実際に2時間で完結する物語というのはとても感慨深い。
しかも『ドラゴンクエスト ユアストーリー』、ドラゴンクエスト好きの私にとって、その2時間を費やして良いと判断させるには充分過ぎるテーマだったのだ。
ネタバレはしたくないため、映画の詳細は記さない。
キャラクターや世界観から『ドラゴンクエストV〜天空の花嫁〜』の話が中心であるし、ストーリーが多少改変はされても、大筋はブレずに進んでいく。
衝撃のラストが待っており、ネットの評判や感想からは賛否両論(否定が多い印象)あるが、個人的にはそこまで不満を持たず、受け入れられた節がある。
個人的な所感としては、「ドラゴンクエストVを本気で愛する人には受け入れられないだろうなぁ」というところである。
映画化するのであれば、キャラクターやストーリーはある程度忠実に再現してほしいし、イレギュラーも最小限に留めてほしい。
幼少期から青年期、そして家族を持つ時間的変化に、様々な伏線をはらむ本作を映画化する事は、テーマとしては適していても、実現化の壁は厚かった様にも思う。
しかし、「ゲーム好き」「ドラゴンクエストシリーズ好き」にとっては、心を打たれるシーンは多々あった。
今作はドラゴンクエストVだけでなく、『天空シリーズ』のBGMが複数織り込まれており、さらにはスーパーファミリーコンピュータ時代の想像でしかなかったバトルシーンの臨場感やキャラクターの感情など、表現されて始めて胸に響くものはあった。
ドラゴンクエストに限った事ではないが、かつて夢中になって打ち込み、のめり込み、世界の中心にゲームが存在していた者達にとって、当時の思い出を懐かしみながら時代の流れを感じた時、心は踊り、弾み、沸き立ちながら、締め付けられるのである。
純粋な感情、やさしい激動、複雑な心境に駆られるのは、やはりあのラストがあるからであるが、あのラストがあったからこそ、心が洗われたとも思っている。
『ドラゴンクエスト』ではなく、『ユアストーリー』として鑑賞する事を強くオススメする。
受け止めるか拒絶するかは貴方次第だが、ドラゴンクエスト好きには貴重な2時間であったと、私は自信を持って言える。