ぐるなBB

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第99回 全国高校ラグビーフットボール大会 20200107 決勝戦 御所実業(奈良)対桐蔭(神奈川)

全国高校ラグビー大会、通称・花園は今大会で第99回を迎え、奈良県代表の県立御所実業と、神奈川県代表の桐蔭学園相見える

御所は最高戦績が準優勝、桐蔭は準優勝が6回、第90回大会では福岡県代表の東福岡高校と同点優勝はあるが、単独優勝はない。

大阪の花園ラグビー場は、優勝という悲願を求める両チームの熱を冷ますかの如く、冷たい雨が降っていた。

 

御所は今大会、一度もトライを奪われていない鉄壁のDFを売りとし、強力FWのラインアウトモールと走力に長けるBKの総合力が実績として表れている。

桐蔭は主将である10番が味方を活かすパスと鋭いランで攻撃の起点となり、サイズのあるFWらも精巧で的確なプレーを魅せる。

桐蔭は高校総体、夏のセブンスも制し、今大会も優勝すれば高校3冠の夢もかかる中、どちらが勝ってもおかしくない、という下馬評であった。

 

前半、御所陣営に攻め込む桐蔭であったが、キック合戦からの落球でみすみす御所にチャンスを与え、セットピースから易々と先制トライを許してしまう。

その後もキックキャッチミスやハンドリングエラーが目立ち、自陣深くに攻め込まれると、BK展開から御所・12番が内に切り返し、個人技で連続トライを奪つ。

桐蔭のミスが生んだ失点ではあるが、御所のDFは素晴らしく、ポイントサイドから5枚目ほどまではマンツーマンとゾーンが融合したDFラインで桐蔭の近場攻撃を防ぎ、キックチェイスではFWを中心に素早く厚い包囲網を張り、キックカウンターはほとんど不可能というとてつもないプレッシャーを与え、流れは完全に御所ペースだった。

 

前半をペナルティキックの3点に抑えられた桐蔭であったが、後半は早々からペースを握る。

御所の厚いDFラインが近場に絞られていると見るや否や、桐蔭FWは9番、10番からパスをもらっても無理に突っ込まず、ステップで左右に撹乱したりさらにパスをしたり、また10番はFWを囮にしてBK展開を増やしたりと、確実にゲインラインの突破を図っていく。

後半早々にはサイズのある桐蔭5番がゴール前で3人に囲まれながらもトライラインに飛び込んだ。

 

その後も桐蔭は10番が得意のゲームメイク、そして個人技で攻撃を仕掛け、ラインブレイクも増えていく。

後半中盤にはキックの蹴り合いから自陣10mでボールをキャッチした10番がそのままラインブレイク、快速を飛ばして最後は14番にラストパス、14番が最後まで走り切り、逆転のトライを生んだ。

なかなかペースを戻せない御所に対し、桐蔭はさらにたたみかけ、敵陣深くまで攻め込んでの連続攻撃をミスなく執拗に繰り返し、トライを挙げている5番が仕掛けてヒットした後、右側に待機する14番に右手だけでの見事なバックフリップ・ロング・オフロードパス、14番が決定力を見せてダメ押しトライを挙げた。

 

終盤にも御所陣営深くまで攻め込むと、最後は10番がゴール正面からドロップゴール、低い弾道のままボールはポストの真ん中を通り、スコアは14対23、そのままフルタイムのホイッスルが鳴った。

桐蔭学園は悲願の単独優勝と高校3冠を達成し、御所は前半こそ完璧だったが、頂点まではあと一歩及ばなかった。

桐蔭の10番をはじめとして、この先楽しみなプレーヤーが多く見られた決勝戦、来年以降の大学での活躍や、その後のステージ、そして来年の花園がまた楽しみとなる、そんな一戦であった。