ラグビーワールドカップ2019『20190920日本対ロシア』
ラグビーワールドカップが第9回目にして初めてアジアで開催される事となった日本大会。
開幕ゲームはホスト国である日本と、欧州予選3位ながら繰り上げで出場となったロシアとが対戦した。
日本とロシアは20181123にも対戦し、その時はフィジカルが強いロシアのFWによる縦攻撃と、ハイパントによる空中戦で勝ったロシアが前半からゲームを有利に進めるも、後半は修正した日本がリーチ・マイケル主将の2トライもあり、辛くも32-27で勝利した。
序盤、開会式から盛り上がったスタジアムの雰囲気、ナイトゲームで煌びやかな照明、ホスト国への期待や重圧の影響からか、日本は8番・姫野や15番・トゥポウが有り得ないキックキャッチエラー等を見せ、ロシアが記念すべき大会初・先制トライを飾る。
ロシアの強力アタックは封じるものの、やはりハイパントでは圧倒的に奪取され、得点を焦るあまり日本はハンドリングエラーを重ね、敵陣深く攻め込むもチャンスを潰してしまう。
13番・ラファエレの華麗なオフロードパスから繋がり、外の空いたスペースを14番・松島が一気に駆け上がって日本の初トライを奪うが、キックの名手である田村もその緊張からかミートせず、追いつこうにも追いつけない。
同様の展開は前半終盤まで続き、日本は逆転トライを狙って空いたスペースへパントを蹴り込むも、ロシアに上手く阻まれてしまう。
ロシアはフェーズを重ねるもなかなか前進出来ないとみるや、ゴロパントやハイパントから効果的に陣地を獲得していき、日本のDFを再三脅かす。
それでもシンプルな攻撃で充分前進出来る日本は、ゴール前ではポイント周辺にDFを集中させ、最後は薄くなった外を14番・松島が再び切れ込み、この日2本目のトライを挙げて前半を12-7で折り返す。
後半、日本は早々にPKを決め、セーフティーリードを守るが、その後はスクラムやラインアウトで後手に回る等、依然ペースを握れずに時間が経過していく。
しかし、7番・ラブスカフニが持ち前の球際テクニックを見せ、自陣ゴール前でのターンオーバーや、素早い出足のタックルからボールを奪っめそのまま50m以上を走りきってのトライ等、ロシアの勢いを徐々に潰していく。
8番・姫野や11番・レメキも徐々に調子を上げて巧みに前進し、日本はボーナスポイント(4トライ以上)も狙っていくが、互いにPKを1本ずつ決めるほどで、時間が過ぎていく。
そんな重い空気を振り払ったのは、やはり身体能力が極めて高い14番・松島であり、陣形が崩れた状態からロシアのDFを切り裂き、日本選手として初、南アフリカ出身選手としては6人目のハットトリックを挙げた。
後半から出場した17番・中島、最年長19番・トンプソンも体を張ったプレーが光り、22番・松田の巧みなランと悲願の出場を果たした23番・山中の左脚から放たれるキックは素晴らしかった。
終わってみれば30-10、何とか勝利した日本は無事にボーナスポイントも獲得出来、スタートとしてのミッションは達成出来た様であった。
格下であるロシアに対し、体格では劣るもののリアクションとDF力で優位に立った結果であると感じる。
試験的な面もあったのかも知らないが、この様な仕上がりでは格上相手に得点を奪う事は困難であると痛感させられるゲームであった。
次戦のアイルランド戦、世界ランク1位を相手にどこまで肉薄出来るか、ホスト国として恥じないゲームになる事を切に願っている。