ぐるなBB

宮城県在住であるBBの主観が渦巻く日常観察バラエティ

ラグビー大学選手権決勝 天理対明治

天理17-22明治

 

明治が22年ぶり、13回目の栄光をもぎ取る。

 

両校これまでとほとんど変わらないスコッドで臨む決勝戦

先制は天理。

明治陣内で明治がミスをし、天理ボールでのスクラムで天理が押し込み、反則を誘う。

ペナルティキックで蹴り出し、ラインアウトから準備されたアウトサイドピールオフ、最後はキャプテンである2番がトライを取り切る。

天理としては理想の形で幸先良くスタートする。

 

しかし明治も巧みなアタックを重ね、じわりじわりと天理ディフェンスを後退させる。

ファーストキャリアに対し天理は出足良く詰めるが、そのファーストキャリアがノミネートされていないプレーヤーにパスを出し、反応が遅れた天理ディフェンスラインを少しずつ切り裂いていく。

最後は10番が大外へロングパス、快速フィニッシャーの14番が切り込み、同点トライを上げる。

 

その後も明治の攻撃は効果的で、天理ディフェンスに的を絞らせない。

また強力なフィジカルを持つ外国人3人を誇る天理は、その3人にボールを集めてゲインを図るが、明治が数で囲んで対応するため、帝京戦の様なビッグゲインは生じない。

セットプレーでは天理に分があり、またペナルティを奪うが、ラインアウトでは明治に再三ターンオーバーを許し、攻撃権を失う。

そんな中、天理陣内で明治ボールラインアウトからモールを形成し、押せない展開から9番が横に持ち出し、ラインブレイカーである11番とスイッチシザース、モールに集められたFW、そして横に移動した9番から外展開を予想させながら、内に切れ込んで来たスピードプレーヤーは誰にも触れられずゴールラインを割った。

明治が逆転し、前半最後に天理がゴールラインまで迫るも、グラウンディング出来ずにハーフタイムとなる。

 

後半も構図は変わらず、明治は変わらず効果的に攻め、天理は苦しい展開が続く。

明治はポイントサイドのFW攻撃に3人を要し、トップに1人、内外に1人ずつというトライアングルを形成し、トップのプレーヤーがパスなりクラッシュなりのミニマムラインで攻める。

ここでのパスが前半に効いており、さらに明治側がパスダミーをするため、余計に天理ディフェンスは混乱し、前に出れずに仕留められない。

接点では後手に回り、ラインメイクに集中するためブレイクダウンでは激しい競り合いにならず、明治優位となる。

またBKラインでも11番の切れ込み、CTB陣の突進が効果的、さらにキックゲームになると15番のロングキックやエリアキックが冴え渡り、天理は成す術がなかった。

 

PKを得た明治はショットを選択して3点追加。

さらにはかつての明治さながらの『前へ』を象徴するかの如く、FWのヒット、ダブルドライブ、ピックゴーの連続から、最後は2番がゴール中央にトライを決め、貴重な追加点を挙げた。

この時点で残り20分、天理からは疲労の色もみられ、勝負は決したかに思えた。

しかし、ここから天理のラグビーがようやく目を覚ます。

 

スクラムハーフとCTBを変え、よりテンポアップした展開を目指す。

変わったスクラムハーフの21番はポイントからの早い球出しと正確な判断でボールを捌き、10番はボールを動かし始める。

変わったCTBの22番は切れ味鋭く、また11番へのロングパスから、外側まで網羅し切れない明治ディフェンスラインを少しずつ押し下げる。

ワイドになった明治ディフェンスラインは、外国人の縦突破に人数をかけにくくなり、徐々にゲインの割合が増える。

最後は2番が元FLらしい敏捷性を見せ、ゴールラインに飛び込んだ。

 

残り10分弱、点差は5点、勢いは完全に天理にあり、勝負の行方は分からなくなる。

明治陣内でボールキープを図る明治に対し、防戦一方ながら機を伺う天理。

明治5番がピックしたままキープしている事を見逃さなかった天理の小柄FL7番、絡みついて押し込み、モールアンプレアブルでターンオーバーとする。

ホーンがなり、天理にとって明治陣内での願ってもないラストチャンス。

ボールキープから22番、5番と勢いのある選手が突破をし、ハードクラッシャーの13番にパスが放られた直後、ボールは無情にも手から弾き落とされ、ノーサイドの笛が鳴った。

 

準決勝の展開をみる限り、天理の強力外国人、運動量豊富で堅実、セットプレーも安定しているFW、決定力のある両WTBを擁し、帝京のアタックを尽く封じた鉄壁のディフェンスを誇る天理に分があると思っていた。

明治はスピードスターのスリーバックス、5番を中心としたFWサイドアタック、それらを9番が巧みに使い分け、穴を突くアタック。

ディフェンスの出足は良いものの、天理の攻撃を止め切れるかが疑問だった。

しかし、結果として明治の防御は固く、60分まで天理側にアタックオプションを狭め、攻撃も天理のラインディフェンスに釘を刺していた。

攻撃は最大の防御と言うが、今回に限っては防御が最大の攻撃になったと言える。

天理のセットプレーも見応えがあったが、外国人選手の活躍を防がれた点は残念だった。

最後までミスを抑え、相手の出方から手を変え品を変え、スクラムにも徐々に対応した明治の厚みある自力が、僅かに交わしたのだろう。

 

結果的に明治の優勝で幕を閉じたが、明治は対抗戦4位である。

帝京には勝利したものの、早明戦、慶明戦では黒星を喫しており、対抗戦順位で上位だった早慶と天理が対戦したら、どうなっていたのだろう。

トーナメントの怖さではあるが、そこが醍醐味でもあり、自チームの強みを最大限活かしたチームが勝つという展開には納得せざるを得ない。

好ゲームを展開してくれた明治、天理、さらには決勝トーナメントへと駒を進めた大学にも改めて感謝と敬意を表したい。

 

MVPは明治キャプテンの9番だろうか。

プレー、判断に置いてほとんどのミスがみられず、攻防において明治の基点や中心となった。

彼に、最大の賛辞を送りたい。